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第34話「薔薇の刻印」 解説
- 2008/09/08(Mon) -
第34話「薔薇の刻印」
放送年月日 1997年11月19日放映

スタッフ
脚本:榎戸洋司    絵コンテ:佐藤順一
演出:桜美かつし   作画監督:門上洋子 長谷川眞也
この話から最終章「黙示録編」に突入。アンシーと暁生の過去、ウテナと王子様の出逢い、そして、棺の中の少女が見た「永遠」が描かれる大切なエピソードである。
前半で影絵少女の舞台劇として語られる「薔薇物語」。そして、後半でウテナの夢の中の回想で、王子様によって語られる「薔薇の物語」。
「薔薇物語」では、自分だけ「お姫様」にしてもらえない妹が悪い魔女になり、光の王子を幽閉してしまったと語られ、「薔薇の物語」ではアンシーが兄であるディオスを助けるために、人々に兄を幽閉したと告げたことになっている。似ているが微妙に違う二つの物語。それは、ひとつの同じ事件を別の見方から語っているだけなのか。アンシーは本当に罪深い少女なのか。それとも。

「世界中の女の子がお姫様だった頃」「お姫様になれない女の子は魔女になるしかない」「君は女の子だ。やがては女性になってしまうだろう」など、テーマに関連した台詞も多い。影絵芝居の寓話性、全体のトリッキーな構成とともに、榎戸脚本の真骨頂といえる仕上がり。

舞台劇「薔薇物語」では、A子、B子、C子の三人がはじめて同時に登場。これで彼女たちの正体が鳳学園の演劇部の生徒であることが判明した?ちなみにキャスティングはお婆さんと妹がA子、王子様がB子、口上と怪獣とお姫様がC子。
ウテナがもらったチケットには「影絵劇団 カシラ  第34回公演」とあるが、このエピソードの話数も第34話。ひょっとして、第1話以来の影絵少女のシーンは全てこの劇団の公演だったのだろうか。
お姫様とキスしそこなった王子様の「チュ」という台詞は『少女革命ウテナ』には珍しい声優ギャグ。

「薔薇物語」で登場したアンシーとディオスがいた童話めいた世界は、ウテナたちが暮らしている世界とは別の異世界であるらしい。FAXが置かれている小屋や、背広を着て剣を持った村人など、相当にシュールである。これは小さい頃のウテナが王子様から話を聞いて、想像した映像であるのかもしれない。
かつて、棺の中にいた少女とはウテナであり、彼女が王子様に見せられた「永遠のもの」とは、百万本の剣に貫かれ永遠の苦しみの中にいるアンシーであった。
ウテナが気高く生きようと思ったきっかけは、王子様ではなく、アンシーだったのか。

この話の絵コンテを担当したのは、『美少女戦士セーラームーン』シリーズや『夢のクレヨン王国』のシリーズディレクターなどで知られる佐藤順一。彼は幾原監督のアニメ界での師にあたる演出家である。今回は大事なエピソードということで、スペシャルゲスト的な参加であった。

(LD「少女革命ウテナ L'Apocalypse 10」封入特典・解説書より)
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