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「革命するシステム」 長谷川眞也インタビュー
- 2008/09/08(Mon) -
徳間書店「アニメージュ」 99年03月号より
――作画作業が一段落したところで、今のお気持ちは如何ですか?

長谷川:早く一観客として、劇場版を観てみたいですね。自分のパートの作業に集中して、他のパートを観ていないので、全部フィルムが繋がったのが想像つかないんですよ。

――今回、作画監督に関して、パートごとに分業することになったのは、どうしてなんですか?

長谷川:もう、一人でやるのは不可能だなって思ったんですよ。他のアニメもそうですけど、ディテール勝負というか、画の密度がかなりのものになってきている。劇場版の大変な分量を、一人で作監するのは非常に難しい。スケジュールの問題もありますしね。
それから、一人でまとめる事に、最近こだわらなくなったというか……。集団でやる作業だから、自分がどんなに頑張って原画を描き直して、全部自分の画にしても、それを動画マンが動画にするわけだし、マシントレスされるわけだし、どこかで自分の画じゃなくなるのも分かり切っていますから。むしろ、自分のテイストが他の人に伝わって、自分のテイストを元に全編ができればいいかなって。

――自分が直接、全部のカットに手を入れる事にはこだわらない?

長谷川:うん。

――一方に、一番上に総作監をおいて、作監、作監補と何重にも作監をたてて、何とか総作監が全体に手が入れられるようにするシステムもありますよね。

長谷川:むしろ、それが主流でしょう。最近の劇場アニメなら、一人で作監を全部やっている作品の方が少ないと思いますよ。必ず作監補がいたり、複数で作監をやっていたり、それだけ絵のクオリティや密度が上がったからでしょうね。それに対して、新しい作監のシステムみたいなものが出来てもいいのかなって思うんですよ。ディズニーみたいに、一キャラを1人の作監が担当するシステムもあると思うんですけど、そうではない、日本的な分担作業が出来ないかなって。

――今回の『アドゥレセンス黙示録』は、TVシリーズの集大成的な意味もあるわけじゃないですか。

長谷川:そうですね。

――それだけにTV版のスタッフに、それぞれの仕事の総決算をしてもらいたい気持ちもあったわけですよね。

長谷川:勿論です。俺は最初はプロット打ち合わせの時に、オムニバスにしたいって強く押し出したんですよ。その頃からパートごとに、分担して作監をやりたいという意識が強くて。お話はオムニバスではなくなったんですけど、そのシステムは残ったんです。TVで印象に残る仕事をした人が、劇場版で似たシーンを担当しているから、的確な効果になったと思うんですけどね。

――林さんが樹璃をやってとか、そういう事ですね。たけうちさんは?

長谷川:たけうちさんは、ねっとりとした芝居がうまいんで、劇場版でもそういうシーンが多いパートをお願いしてますね。

――作画監督ではなくて、原画の方はどうですか。

長谷川:今回の劇場版は、ホントにいい原画の人に集まってもらいました。アニメは原画ですよ。

――それを再確認しましたか?

長谷川:そうですね。アニメは原画次第で如何様にもなるっていう。

――TVの『ウテナ』は作画監督の力が大きかったんじゃないですか?

長谷川:でもやっぱり、基本は原画ありきですよ。作監の力は、つまり、ディテールの力ですよね。画のディテールを上げて、どれだけゴージャスに仕上げるかが作監の仕事ですね。動かすのはやっぱり、原画の人ですから。

――その辺りに関して、今回の劇場版ではどういう具合に。

長谷川:各作画監督が画のゴージャスさを競いつつ、劇場番版らしいクオリティを維持するために、実力のある原画マンに集まってもらいました。そういう意味では、TVの『ウテナ』で学んだシステムを使っています。

――学んだシステムというのは?

長谷川:設定やレイアウトでベーシックなラインを決めて、あとは各スタッフごとに競合して、トータルのクオリティ上げをしてもらうという形ですね。

―― 一人の個性でまとめるよりも、各スタッフの個性と力が出てる方がいいという事ですね。

長谷川:昔から、作監とかが他の人の画を押さえ込んじゃうと、勢いみたいなものが半減するんじゃないかという危惧があるんです。力が出せる人には出させてあげたいし、自分を越えていって欲しいと思いますけどね。まあ、そこで越えられてたまるかって、自分も頑張るんですけどね。

――なるほど。

長谷川:そのくらいの方が、危機感も維持できると思うんです。今回の劇場版も、よい緊張感を維持できたと思います。

――設定やレイアウトでベーシックなラインを決めるという事について、もう少しお願いします。

長谷川:そこに別のシステムの可能性があるかなって思うんです。作監が画を直す事でまとめるんじゃなくて、設定とかデザインで作品をまとめるということですね。最近のアニメの設定って、クオリティが高いじゃないですか。設定の段階で「世界観」を作ってる。その設定が持っている「世界観」で、作品をまとめられたらなって思います。そういうことが可能じゃないかなって。

――絵そのものじゃなくて、絵が持っている世界観ですか。つまり、設定を描いた人のテイストみたいなものを、作品全体に浸透させるという事ですか。

長谷川:そうですね。それが作監システムを変えられる方向かな。少ない画でガンガン動かすのなら、一人で作監出来るかもしれないですが、今の日本のアニメの密度でいくなら、もう、デザインでカテゴライズする方向しかないかな。

――『アドゥレセンス黙示録』の美術は、長谷川さんから観るといかがです。

長谷川:今回、小林さんの力はすごく大きいですよ。小林さんの提示してくるラフ設定とか、美術ボードに触発されて、僕らが描くレイアウトが広がっていきました。本当に小林さんのビジュアルに負うところが大きいんですよ。小林さんのデザインセンスと、美術補佐の中村(千恵子)さんによる、ディテール上げの力ですね。

――最後に『アドゥレセンス黙示録』に関して、もう一言お願いします。

長谷川:自分自身の仕事としても、システムに関しても、TV版からの集大成みたいに出来たと思います。これを生かして、次の作品で上のステップへ行きたいですね。
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