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『ウテナ』スタッフ ミニインタビュー
- 2007/05/11(Fri) -
インタビューは金子伸吾(監督補佐)、高橋亨(監督補佐)、長濱博史(コンセプトデザイン)、小林七郎(美術監督)の4名。
徳間書店「アニメージュ」 97年6月号付録「ウテナ白書」より

金子伸吾(監督補佐)

――ウテナの演出について。

金子:『ウテナ』では、「仕掛け」や「ヒネリ」を積極的に取り入れようとしています。演出をする上で、映画的感性をかなり要求されるんです。そこが難しいところであり、おもしろいところですね。今まで自分でやってきたことを、もう一段階膨らませないとだめなんです。

――チュチュの演出を任されているそうですが、チュチュを描く上でのポイントは?

金子:チュチュは、ウテナたちと同じ空間にいるけれど、あまりストーリーに参加していないんですよ。徹底的に無責任で、参加したい時だけ物語に参加するキャラなんです。画面に「違和感」が出ればいいなと思って、やっています。

――演出を担当した2話について、何か。

金子:2話の時点では、まだ作品世界とかキャラクターなどが確立していなかったので、あまり奇抜な事はしていません。スタンダードな『ウテナ』になっているんじゃないかと思います。決闘シーンの「回る薔薇」はあちこちで非難されてます(笑)。

――今後、『ウテナ』でやってみたことは?

金子:チュチュが主役の話はどうだろうというアイデアが以前から出ていたんですけども、僕が嫌がっていたんです。チュチュは、作品の中での違和感が命だから、メインになっちゃうと失敗すると思ったんですよ。でも、『ウテナ』では「挑戦」を自分の命題にしているので、失敗しそうなことを敢えてやるというのも手かもしれないですね。



高橋亨(監督補佐)

――『ウテナ』が初めての演出だそうですね。

高橋:僕は専門学校で長谷川君と同期だったんですよ。最初は彼に誘われて、アニメーターとして参加しました。ところが、ある日、幾原監督に「高橋は何をやりたいんだ?」と聞かれたんですよ。「将来的には演出をやりたいんです」と言ったら「じゃあ、なれ」と言われて、その場で演出になったんです。
よもや、そのまま1話の演出をすることになるとは思いませんでした。技術的にはまだまだなので、ちょっとずつでもレベルアップしたいと思っています。

――実際に参加しての印象は?

高橋:こういう画の作り方もあったんだなって思いました。僕は、アニメーターをやっていた頃は、実写的な画面の作り方ばかりをやっていたんです。『ウテナ』はそうじゃないんですよ。見せたいところだけ見せれば、後は描かなくてもいいっていう、そういう画の作り方なんですよ。だから、新鮮でしたね。

――今後、『ウテナ』でやってみたいことは?

高橋:自分が作ったからこうなったんだっていうフィルムを作りたいんですよ。例えば、2話なんかは、金子さんが演出したから、チュチュがああ描かれているんだと思います。金子さんでなかったら、ああはならなかったです。僕も、自分がやったからこうなったっていうフィルムを、シリーズが終わるまでに作りたいですね。



長濱博史(コンセプトデザイン)

――具体的には、どんなもののデザインを担当しているのですか?

長濱:大物でいえば、決闘の森や校舎、小物でいえば、幹のノート、生徒会室の椅子、テーブル、寮のスプーンとかティーカップもやっています。幾原さんの中にあるビジュアルイメージを探りながら、具現化していく作業ですね。

――『ウテナ』はやりがいのある仕事ですか。

長濱:ありますね。当たり前の感覚で描いていると、監督に「こんなものはどこにでもある」の一言で片付けられちゃうんです。普通の絵描きの感覚にはないものが求められるんです。
幾原さんが舞台や演劇を本当に好きだった人だからというのもあるんでしょうね。
例えば、普段の自分なら、決闘広場なら決闘広場を作品の中に本当にあると考えて、リアルに見せようとするんですけれど、幾原さんは「見ている部分だけが在るのであって、裏側にはないかもしれないじゃないか。見えている事しか見ている人には伝わらないんだ」と言うんです。それは舞台のセットと同じで、見えるところに重点を置く本当の意味でビジュアル的なデザインを要求されるんですよね。
それから、幾原監督はデザインに関しても、一つ方向性がみえたからといって単純にその方向に向かって進んではいかないんですよ。常に違う方向を指差すんです。だから、仕事がマンネリ化しないんですよ。そういう意味でも、やりがいがありますね。

――『ウテナ』のデザインで気をつけていることは何ですか?

長濱:『ウテナ』には幾原さん独特の、ちぐはぐさが気持ちいいっていう感覚があるんですよ。きれいなキャラクターが残酷な事をするとか、かわいいキャラクターがかっこよく戦うとか、例えばそういうことです。「これって、これでいいのかな?」と思うようなことを意識的に引き伸ばすようにしています。
気に入っているデザインはアンシーの温室ですね。最初に鳥かごのかたちにしようと思ったんですよ。鳥かごと温室って似てるなって思って。だから、温室の上には鳥かごの輪っかのようなものがついているんです。鳥かごって何か意味ありげですしね。



小林七郎(美術監督)

――『ウテナ』に参加しての印象はいかがですか?

小林:幾原さんとは『ウテナ』で初めてお会いしたんですが、直感的に「冴えた方だな」と感じましたね。話をもってこられた時、私は原作の内容を知らなかったんですが、すでに長濱さんの美術設定が用意されていて、私はそれを受ける形で関わりはじめて、説明された世界観から、自分自身が勝手に発想を広げていったんです。
幾原さんの話は、かなり吹っ切れた発想で、あざといというか気障さをむしろ逆手にとって、見せ物としてのでっちあげを自由さにすりかえてやろうという話ですから、当然、それに必要な背景の世界も「際立った鮮烈なイメージで切り込んでみよう」と思いましたね。
中でもとんでもない要求がひとつありました。黒と白、つまり光は白で影は黒で、そこに窓枠だけが真っ赤に、床に映る――。そういう見せ方をしたいと言われたんです。それくらい自由に飛躍した発想は大賛成ですが、その赤の色を画面に無理なく収めるのは、なかなか難しい。
ただその狙いはいいので、実現させてみたいと思っています。さしあたって取り入れられた手法としては、窓枠に青色を使ってみました。黒い窓枠のセンターに青みがピュっと走ってるような、赤のキャラクターと響きあって、そして自然な空気感みたいなものを損なわないような画面。白と黒がシャープに見えれば、他の原色は、より冴えるんですよ。今回の『ウテナ』では、まさの映像が持っている特長を、最大限に攻めているのかもしれませんね。
現在、背景に求められている役割というのは、写真とあまり変わらないんです。説明性がまず優先されて、ドラマティックな部分は、キャラクターが引き受けている。現場でも、個々の描き手が自分のアイディアで発想しない。“美術”にふさわしい仕事ができているかというと難しいですね。
今度の『ウテナ』では、ちょっとは“美術”と言えるかなという仕事をしています。決して十分じゃありませんけど、方向だけでも恥じないように頑張っています。

――小林さんにとって『ウテナ』は挑戦なんですね。

小林:私は主義として、一作ごとに同じスタイルは二度ととらないようにしていますし、つねに前向きに求める姿勢をもっていないといけませんね。作品を作るということには、いい状況を引き出して、そして見る側の要求度を高めていく、そういう責任があると思うんです。そういう意味では、幾原さんの今後に期待していますし、それになにがしかの協力ができたということは、私にとっても大変な喜びなんですよ。
以前『ガンバの冒険』の携わった時、目いっぱい燃えさせてもらったんですが、幾原さんとは、本当に『ガンバ』以来の出逢いだと思っているんですよ。

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