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「デュエリストの条件」 小黒祐一郎
- 2007/04/03(Tue) -
DVD「少女革命ウテナ L'Apocalypse 2」ライナーノーツより

ある男性がTVでアイドルを見て一目惚れしたとする。彼が、そのアイドルを恋人にできる可能性はゼロに近いが、ゼロではない。だが、本気でアイドルを恋人にしようと思って努力をする人間など殆どいないだろう。
彼はそんな努力をする代わりに、レコードを買い、コンサートに行き、ファンクラブに入る。その女性を「アイドル」として楽しむわけだ。そういった行為は、彼女を自分だけの恋人にしたいという気持ちを曖昧にしてくれる。私達のこの世界は、そういった様々な曖昧なものに満ちている。
そういった曖昧さを否定して、本当に欲しいものを手に入れたいと望むなら、人は現実の厳しさを直視し、それに立ち向かうデュエリストになるしかない。

第7話「見果てぬ樹璃」は「奇跡」をめぐる物語である。美貌の持ち主で、フェンシングの腕前は全国レベル。生徒会メンバーで、教師も一目置く存在である有栖川樹璃。彼女の、たったひとつの弱みが「奇跡」である。
想いが届く事を「奇跡」であると考え、さらにその奇跡について、それは絶対に起こらないものだと否定しようとする彼女は、実に屈折していると言えるだろう。絶対に想いが届かない事が分かっているなら、それをわざわざ奇跡などと呼ばずに、不可能と呼べばよい。起こる可能性はほとんど無いが、起きて欲しいと思っているからこそ、それを奇跡と呼んでいるのだ。彼女がそれを否定したいのは、望んでも手に入らない痛みを知っているからなのだろう。
その痛みを知りつつ、あえて「世界を革命する力」という名の奇跡の力を奪い合う存在、デュエリストであり続けようとする樹璃は、最もデュエリストらしいデュエリストと言えるのかもしれない。
自分は奇跡を信じる事ができると語るウテナに対して、樹璃は決闘を挑む。彼女はウテナの無邪気さに嫉妬し、怒りを感じたのだろう。実力では圧倒していたのにもかかわらず、彼女は決闘で破れてしまう。
前の決闘で幹が「輝くもの」という弱点によって決闘に破れたのと同様に、「奇跡」に執着する彼女が、無心で戦うウテナに敗れるという構図である。

曖昧さを否定し、傷つく事を覚悟して、大切なもののために決闘に望み、その大切なもののために破れてしまう。その哀しさもまたデュエリストの宿命なのだろう。
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