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「思春期障害症候群」 さいとうちほインタビュー
- 2007/03/23(Fri) -
さいとうちほ (原案・漫画) インタビュー
LD「少女革命ウテナ L'Apocalypse 3」封入特典・解説書より

──さいとう先生が最初にアニメの『少女革命ウテナ』を観た印象はどうだったんでしょうか?

さいとう:あまりアニメだって事を意識させない感じだなと思いました。普段アニメを見ないような人が、普通のドラマを観るような感覚で観ても、観られるんじゃないかな。
いつも、割とシビアな問題をテーマに持ってきてるから、そこがたぶんアニメ的な感じがしない理由なのかなと思っています。そこから、アニメって、割と「~~モノ」ってカテゴリーで分けることができる気がするんだけど。

──「変身モノ」とか「アクションもの」とかですね。

さいとう:そう。そういう「~~モノ」では分け切れないところがあって(笑)。そういうところも面白かった。

──「こういう作品だったのか」と思ったのは、どこら辺の話ですか。

さいとう:う~ん。やっぱり、第4話かなあ。タコの話です。生タコが出てきた時に、「ああ、アニメの『ウテナ』ってこういう感じなんだな」って思いました(笑)。第1話、第2話はスタンダードなつくりで、第3話は私にサービスしてくれたのか、宝塚寄りだったじゃないですか。
第4話あたりで幾原さん達のやりたい事がドカっと出てた感じで、私は大笑いして観てたんだけどね。第4話が放映された時に、友達から電話がかかってきて「面白い」って言ってくれて。

──それは、漫画家さんですか。

さいとう:うん。アクションも格好良かったしね。私は、割といつも普通の恋愛物を描いてるから、同性愛的なドラマは苦手なんだけど抵抗なく見れたし、面白かった。
『ウテナ』は、毎回の演出が凄く凝っていて、各話の演出さんが競ってるんだなという感じがひしひしと伝わってくるんだよね。シリーズを通しての幾原テイストも強烈だし(笑)。なんか漫画版のムードなんか全部ぶっ飛ばしちゃってる感じだよね(笑)。
私は『ウテナ』に関しては、原作者の一人ではあるし、漫画も担当してるんだけど、漫画とアニメは全然別物として見ている感じです。普通の視聴者と同じように「わははは」と笑ったり、「あっ、こうなったのか」とか言って驚きながら観てるから。そういう意味では、自分の作品だからというこだわりは全然ないのね。
元々、『ウテナ』は幾原さん達との共同作業だと思ってやってるから、アニメ版の方がバリバリにやってくれているのを、ひたすら頼もしく思い、嬉しく観ています、という感じかな。

──樹璃の扱いは、アニメと漫画で全然違いますね。漫画の方では冬芽が好きで、それで、ウテナと決闘するんでしたよね。

さいとう:樹璃に関しては「ちゃお」という掲載誌の都合上、アニメとかなり変えちゃった部分はあるんで、ちょっとその辺は、アニメが好きな人には申し訳ないなあと思ってるんです。
わたしが普段のようにストレートに描くと、たぶん、もうちょっと違う『ウテナ』になったんだろうけど。

──つまり、同じ樹璃が冬芽が好きという設定でも、もっと違ったテイストのドラマになったかもしれない。

さいとう:うん、そうだね。

──先生としてはどっちにしろ、同性愛的な樹璃は描く気はなかったわけですよね。

さいとう:いや、描けと言われれば、面白いから描いたような気もするけど。でも、やっぱりちょっと漫画だと……。同性愛的なことは別に描いてもいいんだけど、アニメの方はあまりにもウテナがドラマの中心から外れている構成だから、どうしてもそこがちょっと漫画に向かないかな。だから、なるべくウテナと樹璃に接点を持たせるために、ウテナと冬芽と樹璃の三角関係という話にしたんです。
もっとマニアックな雑誌や、読者の年令が高い雑誌なら、そういう風に主人公を外してもいいのかもしれないけれど。

──さいとう先生としては第9話はどうなんですか。あのエピソードは女性ファンに人気があるんですけど。

さいとう:冬芽がウテナの髪を撫で撫でしてるところなんかは、特に気に入ってます。冬芽は、あんな子供の時からあんなことをしていたのか(笑)、と。

──話は随分前に遡りますが、幾原さんと初めて会ったときの印象についてお聞きしたいんですが。

さいとう:ほっそりした人だったので、びっくりしました。全然予想と違ったタイプの人だったので。

──ああ、監督というからには。

さいとう:そう、もっとガッシリしたオジサンかと思ってたので、「え~~っ」と驚きました。すごく若く見えたし、その時はなにも喋んなかったんですよ。一緒に来たプランニングの小黒さんにばかり喋らせてて(笑)。だから、あんなに意志の強い人だとは思いませんでした。

──意志が強いって、打ち合わせなどの時なんかに自分の意見を曲げないってことですよね。でも、さいとう先生だって負けてはいないわけでしょ。

さいとう:いえいえ。私は意志を通さないですよ(笑)。私は「こうしてください」と言われれば、「わかりました」って言って、いくらでもホイホイ曲げますから。

──本当ですかあ(笑)。

さいとう:一緒に仕事をするようになって、幾原さんがかなり真面目だということがよく分かりました。それから、ピュアな人ですね。

──ピュアですか。

さいとう:子供っぽいって意味じゃなくてね。「子供の頃の心」を自分の内にずっと持っているんじゃないかなと思う。幾原さんは、昔の思い出とかをすごく大事にしてるんじゃないのかな。
そういうことを大切にしながら作品を作っている気がするんだけど。私なんか、全然覚えてないもの。小さい時のこととか。


さいとう:『ウテナ』は、なんだか、全体的に青春っぽい感じがするというか、人が思春期にぶつかる問題が全て凝縮されている感じがします。

──それはアニメの方ですね。

さいとう:ええ、アニメの『ウテナ』は、セクシャルな味つけをしながら、思春期の問題を「これでもか、これでもか」と執拗にやってるよね。見ている人がどのくらい気がついているのか分からないけど。

──セクシャルな味つけで思春期ですか。

さいとう:そう、セクシャルというのは、思春期の問題でもあるから。アニメの『ウテナ』には、思春期の悩みもコンプレックスも全部入っている気がする。

──特に、その辺り、西園寺の話は顕著ですね。だけど、ウテナは思春期の悩みがない。

さいとう:うん。全然ない。ウテナは、思春期以前だからね(笑)。本当に、小学校四年生ぐらいの男の子って感じよね。ピーターパンみたいな子だから。

──なるほど。

さいとう:ほかにも同性愛的だったり、男と女の境界線が揺らいでいる感じも、やっぱり思春期的だよね。性的に未分化な感じが。ああいう思春期的なムードが濃厚なのは、幾原さんの才能なのかなあと。

──いや、榎戸さんの持ち味も強いんじゃないですか。

さいとう:ああ、そうね。確かに、榎戸さんが引っ張ってるところもあるよね。

──幾原さんが一人で作ったら、第5話の幹の話とか、第8話の西園寺の話とか、あんなに思春期的なムードにならないかもしれない。

さいとう:そうだね。幾原さんだけだと、もうちょっと違った感じになるかもしれないわね。ああいう思春期的なムードは、私ではちょっと作れないなあ。

──彼等は、思春期の傷つきやすさや、繊細さに対しての執着があるのかもしれない。

さいとう:私なんか微塵もないもんね。そういうの(笑)。その辺が『少女革命ウテナ』のアニメと漫画の一番の違いなのかもしれない。そういうところを比較しちゃうと、男の子に比べて、女の子って現実肯定派なんだなって思うなあ。

──漫画とアニメでは、チュチュの性格も違いますよね。

さいとう:そうそう。私、アニメのチュチュは「男の子」だなあという感じがしているの。

──と、言うと。

さいとう:いつも寝てて、いつも食べてて、いつもアンシーとかウテナにお世話してもらって、好き勝手なコトしてて、無責任で楽しい毎日で、動物と遊んですごく幸せそうに「チューッ」とか言ってる。
ときどき西園寺とかに戦いを挑んでいくんだけど、簡単に負けてしまう。あれは「男の子」だなあ、という感じが。

──男性スタッフの願望ですか。

さいとう:う~ん、願望とはちょっと違うかな。男の子が何も気負わないで……。

──そうか、「俺は男だ!」という思いがない男の人なんだ。

さいとう:そうそう。だから、みんなチュチュに入れあげるのも、むべなるかなという感じですかね。

──漫画のチュチュは「俺は男だ!」というところがちょっとありますもんね。

さいとう:うん。ちょっと、ナイト様が入ってますね。

──漫画でチュチュが「アンシーやウテナと同じ大きさになりたい」と思う話があるけど、アニメ版はそんなこと思わない。

さいとう:やっぱり私は女の子の立場から、男の子には頑張って欲しいとか思っちゃうんです。でも、男の子は、頑張らないでアニメのチュチュのようにしてると幸せな世界が開けると思っているのでは、という気がする(笑)。

──それも別の意味で、思春期以前(笑)。

さいとう:そうそう、思春期以前が幸せなんじゃないですかね。

──ああ、なるほど。西園寺や幹が求める「永遠のもの」とか「輝くもの」とかを体現しているのが、チュチュなんですね。「子供の頃は楽しかったよなあ」みたいな。

さいとう:そうかもね(笑)。

──だから、西園寺はチュチュが嫌いなんだ、ウン、ウン。

さいとう:ああ、そうね。彼はそういうものを求めつつも、男になろうとしてるわけね。すると、チュチュがそこら辺をウロウロしていて。

──子供全開で楽しそうにしているから。「悔しいっ!」と思ってしまう。

さいとう:「アンシーに可愛がられやがって、チキショーッ!」てなもんなんですかねえ。なるほど、深いですね。

──最後に、まとめの一言をお願いします。

さいとう:私は、ビーパパスのみんなとめぐり会えて幸せでした(笑)。これが、まとめですね。

──自分のキャラがアニメになったことよりも、彼らに出会えたことが大事なんですね。

さいとう:そうだね。自分の漫画がアニメになればいいなと思っていたけど、なってみると、別にそんなに嬉しいというわけでもなかった(笑)。

──そうなんですか。

さいとう:昔、自分がどこかのスターみたいに雑誌のグラビアに載ったら、どんなに楽しいだろうと思ってたけど、いざ、自分が載ってみたら「なーんだ、こんなことか」と思ったの。それと同じ様なことなんじゃないかな。
むしろ、憧れていたことが実現するよりも、魅力的な人に会えることの方が面白いような気がする。それは自分の糧にもなることだし。もちろん作品としての『ウテナ』も大事ですよ。でも、私から見ると、作品としての『ウテナ』はいろんな人との出会いの結果という感じなんです。

──先生にとって、ビーパパスの他の方々ってどうなんですか。

さいとう:みんな、面白い方ですよ。才能があるし、ピュアな部分が際立ってますから。それから、彼等には創作の原点を見せられるような気がする。

──創作の原点、ですか。

さいとう:自分達の全てを作品にぶつけているところかな。私は、自分では一生懸命にやってるつもりだったんだけど、彼等と比べると「お仕事」をしていたのかなあ、なんて思うことがあるくらいです。


(1997年8月25日 於東京国分寺)
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