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「薔薇の刻印」 榎戸洋司
- 2007/07/28(Sat) -
徳間書店「アニメージュ」 97年12月号より

――おもちゃと同じだよね。“やがていらなくなる為に”、それは必要なんだ。


天上ウテナの指を飾る薔薇の刻印は、彼女にとっての“王子様”を両義的なものにしている。
王子様に近づく、という動機は、その言葉の曖昧さそのままに、恋愛対象としての“彼”に接近する行為と、自身が王子様になろうとすることを混同させているのだ。
崇拝対象への模倣。形から目指すことが人の本質である。
この“少女によるミメシス”は、王子様というイデアを浮き彫りにするための仕掛けだ。(いきなりまたコムツカシイことを言いはじめちまったい……はい、少々飲んでます。いや、昨日、最終話のシナリオを書き終えたばかりなもんで)

「いいよな、脚本家は」と幾原。「先に終わって。俺なんか『燃えよドラゴン』のリバイバルも観にいけなかったのに」
「これから遊ぶんだね」とさいとう先生。「私は今月、締切りみっつも抱えてるのに」
「せめて差し入れ持ってスタジオに通ってください」と長谷川君。「あ、僕は日本酒ね」

うう、二年近い歳月を経て、ようやくシリーズすべてのシナリオができたのに、誰もごくろうさまと言ってくれない……。

「ごくろうさま」と小黒氏。「じゃ、手があいたのなら、アニメージュの原稿たのむね」
(え、しかも明日が締切りだあ?ガーン……というわけで、僕は今これを書かされて……あ、いやいや、書かせていただいております)


天上ウテナは少女漫画の主人公としては、むしろステロタイプなキャラクターである。
作品に現代性をもたせるために考えたキャラクターが姫宮アンシーだ。二人である理由は、ハーモニーを描くことを目的にしたから。

ハーモニー。複数存在による調和と効果。男性と男性。女性と女性。兄と妹。タブーと快楽。主題を彩る要素は多く、主人公二人の絆は、王子様の影を軸に、複雑にからみあう。
そして二人の絆は、ウテナの持つ薔薇の刻印に収束されていく。


いまだ語られざる、それは薔薇の物語。
第34話から、第4部「黙示録編」がはじまる。物語は、以後、最初から定められた終局の一点を目指して進んでいくことになる。
すなわち、少女革命。

第34話「薔薇の刻印」では、ウテナと王子様の出会いが描かれる。
詳細をここで話すことは控えるが、あの第9話での回想(教会のシーンね)の続きだ。
それはしかし、ウテナの中で、すでに失われた物語なのかもしれない。
けれど、薔薇の刻印は、今もウテナの指にある。なにかを見失ったとき、彼女を支える力になっている。
それはおもちゃではない。


ところで、革命とは、支配されている者が、その支配のシステムを破壊することである。
少女革命とは、だから少女が、少女を支配するものから自由になる物語だ。
作中における“王子様”は、実は、少女を支配するものとして設定されている。
王子様、というのは、女の子がお姫様になるために必要な装置である。
それは関係性の儀式でしかない。
けれど女の子が女の子であることも、実は儀式でしかないのだ。

最後の決闘の末に、ウテナは“世界の果て”になにを見出すのか。
願わくば、そこに永遠が、輝くものが、奇跡の力がありますように。
そしてまた原稿の依頼は締切り直前ではなく、もう少し早めでありますように。

とにかく、僕は今夜はもう眠い。
絶対運命黙示録。
おやすみなさい。
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