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自身による収録作品解説:鳳暁生編
- 2008/03/14(Fri) -
徳間書店 アニメージュ文庫「少女革命ウテナ脚本集・下 薔薇の刻印」巻末収録
脚本集収録各話(25、26、30話)担当脚本家・榎戸洋司による解説
第25話「ふたりの永遠黙示録」

関係(relation)という名の決闘      [vs 西園寺莢一]

なぜディオスの剣が消えたのか?
ディオスの剣は、薔薇の花嫁・アンシーの、王子様への幻想が凝ったものである。
前回まで西園寺やウテナがアンシーから引き抜いていたディオスの剣は、もともとは暁生から引き抜かれたものだったのだろう。
だが、アンシーは、自分でも気づかぬほど深い部分で、いつのまにかウテナを王子様としてとらえはじめたようだ。そのため、暁生のディオスの剣は消失し、“ウテナのディオスの剣”が出現したらしい。

天上ウテナと西園寺莢一が剣を交えるのは、これで三度目である。
西園寺はこのシリーズのテーマである“少女革命”を描く上で、もっとも明確なアンチテーゼとなるキャラだ。
西園寺は男は男らしくあるべきだという前提を疑わず、薔薇の花嫁であるアンシーを自分のものにしようとしている。この、女の子を“所有”しようとする考え方にウテナはいつも怒りを感じるわけだが――
西園寺の考え方は、いわゆる“古い男”としてレッテルを貼られているが、実は、彼は、文化の中世から近代化への過程を体現しているだけではある。洋の東西を問わず、本来“美しさ”とは、男女両性があわせもつ性質であった。けれど、装飾の美しさはやがて女性へと“専門化”していき、同時に、自身から装飾の美を剥奪した男性は、美を専門化した女性を“所有”しようとするようになる。
この役割の様式化こそが中世から近代化への道だと思う。

男女共に華やかなキャラが咲き乱れる鳳学園は中世なのか。
男らしさや女らしさの様式の是非はここでは問わないが、様式が様式でしかない事実に気づくことは、人間性の豊かさを獲得するための絶対の条件だとは思う。
男装の麗人・ウテナの存在意義もそこにある。

それにしても西園寺は、いつも貧乏クジをひく。冬芽のことなど気にしなければ、あるいは一度くらいはウテナに勝てたかもしれない。
夜中に一人で雑巾がけをしてる姿と、七実が“莢一”と呼ぶシーンは、いつかやろうと狙っていた(笑)。いや、七実が生徒会長代行だから威張って呼び捨てにしているわけではなく――作中では描かれなかったが――西園寺は冬芽と幼なじみなんだから、当然、七実とも昔からの知り合いなのである。


第26話「幹の巣箱 (光さす庭・アレンジ)」

誘惑(tentation)という名の決闘      [vs 薫幹]

幹と梢がそれぞれに暁生――“世界の果て” に誘惑される話。
今回は梢が助手席、幹が後部席にいるが、暁生の車に乗るとき、その座る位置が、キャラクターの関係を示している。
両親の不仲が原因で、心の中で大人とは一線を引いている二人だが、その線の“ひきかた”の違いが、この兄妹の独特のハーモニーを描く。
梢はすっかり染まってしまったが、幹は結局、自分を変えられなかった。
おかげで、梢にいくじなしと言われてしまった幹だが、けして彼が未熟なわけではなく、彼は彼なりの方法で大人になろうと歩みはじめたのだと思う。その答え(らしきもの)は、第37話で示している。

幹たちの父親の再婚相手がどうして薔薇の花嫁なのかは、説明がむずかしいな。
通常、表層意識は意味的連想を、潜在意識は音声的連想を行うものらしい。
だから、父親の“花嫁”だから、アンシーが花嫁の記号としてここに登場したのだろう。
(所詮、アニメとは心象風景である――あ、これは禁句かな)

七実と梢のツーショットも挿入してみた。この二人の少女は反目しあうわけではなく、好意を持つわけでもなく、互いの価値をはかりかねている。ま、コギャルの梢と、牛に変身する七実では、そもそもキャラクターの価値観が違うという声もあるけど(笑)、こういうニュートラルな関係を描くのは、けっこう好きです。


第30話「裸足の少女」
ウテナと暁生は第25話からひとつ屋根の下で同居させてみたけど、それでもいまいち“関係性”が盛り上がらないので、思い切ってキスさせてみました。
ラストの鳳夫人と暁生を関係とか、結構さいとうちほしてると思うんですが、いかがでしょう。ちなみに、暁生の手で靴を脱がされて、ふとウテナがセクシャリティを意識するのは、さいとう先生のアイデアです。それが靴であれ、“異性に脱がされる”という状況が、さらなるなにかを少女に連想させるのだそうです。うーん、勉強になるなあ(笑)。
影絵少女もインモラルをすすめているようだし、この話、結構やばい内容かもしれない。
でもフィルム自体は、とても瑞々しい香りがして気に入っている。さすが、いがら……(じゃなかった(笑))……風山十五さんの絵コンテである。
 
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